dorandoronのブログ

千歳起点で17年度SFC修行を終えました。長時間飛行機に乗るのは苦手です。

この投資は必ず損金が発生します

M不動産の話は、私には初耳でした。

ハイリスクハイリターン、ローリスクローリターン、という公式しか知らなかった私には、必ず損金が発生しますと言われても、どう考えていいのか分りませんでした。

しかし会社が欲しかったのは、この損金だったのです。

不動産部門の利益が過大になり、課税をいかにして最小限度に抑えるかが、喫緊の課題になっていたのです。

M不動産の説明は以下の通りです。

「 まずアメリカの何々州に子会社を設立して下さい。私共では現地にファンドを立ち上げます。子会社からファンドに投資して下さい。投資金と借入金でアメリカ国内何々州にビル・アパートを購入します。

このファンドの損益については、日本では50年償却の建物を25年で償却することが可能です。

従ってキャッシュベースでは黒字になりますが、損益ベースでは必ず赤字になります。

( 家賃収入でお金は入るけど、減価償却費が大きいので決算書はマイナスとなる、という意味です。 )

現地子会社の決算申告書は私共で作成します、御社はこの申告書を基に、本社とアメリカの子会社の連結決算書を作成して下さい。」

成る程~、私ですら理解出来ました。まるっきり合法的な税金逃れです。

なんでアメリカでは償却期間を短くしているのか知らんけど、あちらの損金を日本の本社の決算に合算出来るなら全く問題ありません。

( 例え税務署が現地へ調査に行っても、違法性はないのだから問題にはならないはずです。そもそも脱税の疑いが濃厚でもないと、経費のかかる外国への現地調査など出来るはずがありません。)

投資は直ちに承認されました。

投資単位は1口100万ドルからでした。

これで税金は相当額減額になるはずでした。

ところが私はまるで素人だったので、外貨投資には、為替リスクというものが存在していることを考えに入れていなかったのです。

( そこは不動産会社が教えてくれたらよかったのですが )

円は上昇を続けていました。

月次決算で、アメリカの子会社の資産はドルから円に換算しています。

1ドル130円で100万ドル投資したとすると、1億3千万円が最初の金額です。

1ドルが110円になると資産は1億1千万円に減少します。

円の上昇は止まりません。100円を突破しました。

為替リスクをヘッジするのを忘れてました、なんて言い訳出来ればよかったのですが。

ファンドの運用は問題ありませんでした。多額の減価償却費により赤字になっていましたが、家賃収入は予算と差がなくキャッシュの配当も期待出来そうでした。

つまり為替リスク以外は予定通りだった訳です。

毎月為替評価損で資産が億単位で消えて行きました。

まずいな、責任取らされる前に会社辞めた方がいいかな。

と逃げ出すことを考え始めました。